初めてのお泊まり。
まさかこんな日がくるなんて。
社長側ですっごく綿密に計画が立てられ、根回し的なこともやったようで、あとは運やタイミングが噛み合うことを神頼みするしかないような状況でした。
何週間も前から社長のスケジュールのとある日に「キャンプ」と入力されているのは知っていた。
ご家族と、何人かの男子従業員と行くこともわかってた。
内心では家族に対して嫉妬してた。おかしなことだが、男子たちにも。
社長一家は2泊コテージを借りたと聞いた。
だけど、男子も家族も一泊で帰るとのこと。
2泊目は社長1人でコテージ泊?
キャンプに行くことを知っている従業員たちは全員不思議に思っていたはずだ。
わたしですら、2泊もせずに帰ってきたら?と言ったくらい。
けれど、何人かは2泊目に誘われて、でも断っていたようだ。
後から知ったが、断わられることを前提で誘ったそうな。
従業員たちは、2日目は社長1人でキャンプするのかな?みんなと一緒に帰ればいいのに、もしくはなんで家族は社長を置いて帰るんだ?などと好き好きに言っていた。
さて、キャンプの2日前。
2泊目、僕は1人です、来て欲しい。とLINE。
まさか誘われるとは思ってもいなかった。
キャンプ!お泊まりしたい!
けど、ハードル高い!どうしたらいい!?
今まで仕事の前後でしかデートしたことふがない。全くの休日に100パーセントの嘘で塗り固めるデートなんて可能なんだろうか?
しかも、もしお泊まりとなれば、スッピンどうする?みたいな普通の心配ごとも。
物理的にも心理的にもハードル高い!
しかも、わたしがOKでもNGでも周囲から怪しまれないような既成事実を作っていたんだ、彼は。コテージは2泊借りちゃったのに、誘っても誰もこれないから、1人で泊まるかもしれないし、もしくは帰るかもね〜、みたいな。
わたしはやってみた。超えてみた。超えた先の不倫の行く末がどうなるのか想像もできないまま踏み出してしまった。
ダンナさんには、家族と従業員でキャンプをするのに誘われた、と伝えた。
普通に服装や持ち物の心配をしてくれた。
木曜に誘われ、金曜は仕事、土曜の夕方まではダンナさんと遊びに行った。
社長家族がキャンプ場から撤収した知らせを受けて、わたしは家を出る。
日が暮れた見知らぬ道をナビだけを頼りに1時間、いろんな緊張で汗だくになりながら彼の元へハンドルを向けた。